身を晒す。

桜の見頃の季節になってしまいました。つぶやきも随分さぼってばかりで、時は待ってくれないですね。何だか、満開の桜の美しさよりも、散って行く儚さに心が響くのは僕の中で何かが変わったからでしょうか？

散り行く桜に人生の儚さ、世の無常を重ねて物を想うのは日本人独特の素晴らしい感性だそうです。ようやくそこに追いついたのなら良いのだけれど・・・。

さて先日、劇団ひまわりシアターカンパニーSｍash・の『掌の宇宙』を面白く観ましたよ。「手」をテーマにして、浅田次郎さんや久世光彦さん、阿久　悠さん、小沢昭一さん等、一流の方達が書いた４００字の文章を１３人の俳優が舞台空間にその世界を立ち上がらせると言う趣向。Ａチーム、Ｂチームがあって両チームとも頑張っていました。舞台装置も煌びやかな衣装もなく、俳優の演技だけで舞台空間を満たす。あの類の作品をちゃんと演じられる俳優でいたいと切に思うんだよね。

僕は、Ａチームが好きだったな。４００字に込められた一流の人達の含蓄のある選び抜かれた言葉に、己を晒して挑戦する彼等のひたむきさがマッチして、あのチームの一員になりたいと思った。いつまでも己を晒せる俳優でいたいね。

Ｂチームは、経験者も多く上手そうに見えたけど、いつも一枚何かを纏っている者も多く、余計な物が付き過ぎた感じ。作品達の輝きではなく、俳優自信が目立ちたい様で邪魔に思えた。

終演後、たまたまご一緒したミュージシャンの方と呑んで、ＡとＢを比べた時、舞台に溢れ出て来る物が違うと言う点で意見が一致。それじゃ、それは何が違うのか？それは、俳優自身の生き様ではないかと言う事になって、己を省みた時に恥ずかしくなって、トーンダウン。

俳優の仕事は厳しいね。こんな風に個人の好き嫌いで評価されて、いろいろ言われちゃう。怖い、怖い。

身を晒す覚悟と観客の評価に耐えうる技術！

大変だ～っ！！！